高血圧症とは

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高血圧症とはどのような病気か

血圧とは

血圧とは、心臓から全身に送り出された血液が血管の壁を押す時の圧力のことで心臓が縮んだり広がったりすることで発生します。

  • 収縮期血圧(上の血圧):心臓が収縮して、血液を全身に送り出す時に血管の壁に与える圧力です。
  • 拡張期血圧(下の血圧):心臓が拡張し、血液を取り込んだ時血管の壁にかかる圧力です。

血圧132/78で収縮血圧が132、拡張期血圧78を表します。

高血圧症の定義

高血圧とは複数回の血圧測定で、診察室での血圧が140/90mmHg以上、家庭での血圧が135/85mmHg以上の状態が継続する場合に高血圧と診断されます。高血圧は自覚症状がほとんどないため「サイレントキラー(沈黙の疾患)」とも呼ばれ、気づかないうちに血管や臓器に大きな負担をかけていることがあります。日本における高血圧患者は4300万人と推定され、そのうち実際に治療を受けているのはわずか800万人程度と言われています。

高血圧は頭痛やめまい、肩こりなどの自覚症状が乏しく、受診が遅れがちですが、高血圧の状態が続くと動脈硬化が進み脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)、心臓病(冠動脈疾患、心肥大、心不全など)、腎臓病(腎硬化症)、大動脈瘤などを引き起こすリスクが高まります。
福岡県久山町で行われた有名な疫学調査によれば高血圧によって引き起こされるリスクが最も高まるのは「脳卒中」であり、収縮期血圧が10mmHg上昇するごとに、男性では20%、女性では15%高くなると報告されています。
高血圧治療により脳心血管疾患の発症リスクを大幅に減らすことが可能ですので高血圧は必ず治療することをおすすめいたします。

高血圧の診断

成人における血圧分類(診察室血圧) 家庭血圧の基準は、診察室血圧から5を引きます。

収縮期血圧/拡張期血圧(mmHg)
Ⅲ度高血圧 ≧180 かつ/または ≧110
Ⅱ度高血圧 160-179 かつ/または 100-109
Ⅰ度高血圧 140-159 かつ/または 90-99
高値血圧 130-139 かつ/または 80-89
正常高値血圧 120-129 かつ <80
正常血圧 <120 かつ <80

「高血圧症の診断基準」は診察室で測定した場合は140/90mmHg以上、自宅では135/85mmHg以上で、高血圧の診断基準となります。診察室で血圧はいくらですか?と質問を受けます。
「正常の血圧値」は診察室の測定で120/80mmHg未満、「自宅」での測定で115/75mmHg未満が正常血圧値と定義されています。

高血圧の原因と二次性高血圧について

高血圧は、本態性高血圧と二次性高血圧の二種類に大別されます。
本態性高血圧(約90%)とは、特定の原因によらない、遺伝や生活習慣により発症する高血圧のことです。高血圧のリスクとなる生活習慣として、塩分過多・肥満・喫煙・運動不足・飲酒・ストレスが挙げられます。
また、薬が効きにくい高血圧、若い時からの高血圧では、原因が明らかな高血圧の可能性があります。このような高血圧を二次性高血圧と呼び、高血圧の約10%を占めています。内分泌疾患(原発性アルドステロン症、甲状腺疾患、クッシング症候群、褐色細胞腫等)、腎疾患、睡眠時無呼吸症候群、特定の薬剤、大動脈縮窄症などが原因で起こる高血圧のことです。本態性高血圧と二次性高血圧とでは、治療方針が大きく異なります。

高血圧の治療

高血圧の治療には、生活習慣の改善と降圧薬の使用がありますが、まずは生活習慣の改善が重要です。これによって血圧だけでなく、糖尿病、脂質異常症、高尿酸血症などの生活習慣病を予防できます。

生活習慣の改善

塩分制限
塩分には血圧を上昇させる作用があります。日本人の塩分摂取量は平均10g/日程度と多く、これを6g/日未満にすることで約5mmHg血圧が下がります。1日の塩分摂取量は来院時の検尿で測定可能です
肥満を防ぐ(適正体重の維持)
肥満があると正常体重の方と比べて、高血圧になる頻度は約3倍と言われています。肥満の人が1kg減量すると、収縮機血圧は1mmHg、拡張期血圧は0.9mmHg下がると推定されています。
バランスの取れた食事
野菜・果物の積極的摂取、および飽和脂肪酸・コレステロールを多く含む肉類を控え不飽和脂肪酸が豊富な植物性油や魚を積極的に摂取する
禁煙
喫煙は癌の危険因子以外に、血圧や脈拍を上昇させ動脈硬化を進行させます。可能であれば今日から禁煙を
運動療法
運動療法は約3mmHgの血圧降下が期待できる上に様々な健康増進効果があります。
アルコール制限
睡眠の改善(睡眠時無呼吸症候群があればその治療)

薬物治療

Ⅰ度以上の高血圧で生活習慣の是正のみでは降圧が不十分な場合に薬物治療を開始します。

高血圧の治療薬には複数の種類があり、血圧を下げる仕組みや身体的特徴、他の持病に応じて処方が選ばれます。

カルシウム拮抗薬
代表薬:アムロジピン、ニフェジピンなど
作用:血管を広げて血圧を下げる
副作用:むくみ、顔のほてり、動悸、頭痛など
ARB(アンジオテンシンⅡ受容体拮抗薬)
代表薬:ロサルタン、カンデサルタン、バルサルタンなど
作用:血管を収縮させるホルモンの働きを抑える
副作用:まれにむくみ、めまい、動悸など。妊婦は使用不可
ACE阻害薬(アンジオテンシン変換酵素阻害薬)
代表薬:エナラプリル、テモカプリルなど
作用:血管を収縮させるホルモンの産生を抑える
副作用:空咳、血液中のカリウム上昇など
利尿薬
代表薬:トリクロルメチアジド、フロセミドなど
作用:体内の余分な水分・塩分を排泄し血圧を下げる
副作用:電解質異常(カリウム・ナトリウム減少)など
β遮断薬
代表薬:プロプラノロール、アセブトロールなど
作用:心臓の働きを抑え、血圧を下げる
副作用:徐脈、だるさ、喘息悪化など
α遮断薬
代表薬:ドキサゾシン、フェントラミンなど
作用:末梢血管を広げて血圧を下げる
副作用:立ちくらみ、めまい、頭痛など
その他(レニン阻害薬、中枢性交感神経抑制薬など)
上記が無効や副作用が強い場合に検討

降圧目標について

2025年8月29日に日本高血圧学会から発刊された「高血圧管理・治療ガイドライン2025(JSH2025)」では、年齢によらずすべての高血圧患者の降圧目標を診察室血圧で130/80mmHg未満に設定しました。「高血圧管理・治療ガイドライン2019(JSH2019)」では75歳以上の高齢者、脳血管障害や慢性腎臓病(蛋白尿陰性)を有する患者などは有害事象の発現を考慮して140/90mmHg未満と区別していたましが、これまでの国内外の研究から高値血圧(130~139/80~89mmHg)でも心血管疾患の発症や死亡リスクが高いことから、高血圧患者であれば、120/80mmHg以上の血圧を呈するすべての者を血圧管理の対象とし、また、降圧目標も75歳以上の高齢者も含めて、診察室血圧130/80mmHg未満に定められました。

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